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〜ネックのリセットアップ〜
ギターを落としてしまってボディとネックの間に隙間があいてしまった。 ネックの仕込み角度が理想的ではない為に、思うように弦高が下がらない。 大切な楽器なのにネック材が経年変化で曲がってしまってネックを外して修正したい。
そのような症状を抱えているアコースティックギターは非常に多いかと思います。 そして、ネックのリセットアップの効果がしっかりと出るのかが不安で手が出せない。 というオーナー様も多いかと思います。
簡単な解説ではありますが、作業手順やその効果を解説したいと思います。
ネックのヒール部分とボディとのジョイントに隙間が出来てしまっています。
現状の弦高はこれほど高い物になってしまっています。非常に弾きにくく音程も悪くなってしまっています。
まずフレットを外し、ボディと接着している指板面に熱を加え、ニカワを溶かし、 ボディと指板を剥がします。
その後、フレット溝の一部に穴をあけ、ボディとネックのジョイント部分に届くように、 スチームを出す機械をセットします。ジョイント部分は主にV字になっている為、 そこに差し込むイメージでノズルをセットしていきます。
ニカワは熱と水に弱い為、高温高圧のスチームを 使う事で剥がす事ができます。
しばらくするとネックが外れます。すぐに水分を拭き取ります。 ネックを外した場合、制作者のサインや製造工程日、シリアルナンバーだけではわからない 面白い情報がわかる場合があります。
今回の場合は、製造日時が書いてありました。 また楽器を落とし強い衝撃が加わった時にジョイント部分が割れてしまっていたようで、 破片が残っております。これらを修正ししっかりとしたジョイントを作っていきます。
こちらはネック側、うっすら見える横のラインはヒビが入ってしまっている部分です。 また欠けてしまっている部分も比較的多いようです。
しっかりとした剛性を出す為に、慎重に整えてジョイントの形成を行います。
この際に、ジョイントに隙間が出来る場合や、噛み合わせが悪い場合は、接ぎ木等を行い形成していきます。 *稀に最初から剛性が出ておらずスカスカのジョイントもあります。その場合は、 しっかりとした剛性を出す事で、格段に音の伝達が良くなり、鳴りが向上します。
しっかりと整えたネックとボディをニカワを使いしっかりと固定していきます。 *写真はわかりやすいように直接クランプを噛ましておりますが、 実際は木材を挟む等を行い楽器を保護しながらの作業となります。
フレットを打ち変え、弦を張ってみると、ここまでしっかりとした弦高に下げられました。 かなり低い弦高ですが、ビビることもなくしっかりと鳴るようになりました。
ジョイント部分の隙間もしっかりと修正されました。
ネックのリセッティングはしっかりと行う事で、楽器のコンディションは勿論ですが、 ジョイントの剛性を正確に出す事で、ネックの振動をボディへロス無く伝える事で 音質の向上も可能とする作業になります。
またネックを外す事で、ご自身の楽器の新たな情報も手に入るかもしれません。
弦楽器製作修理工房ウッドハモナイズ
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